離婚前提策略婚。【改訂版】
あんなに幸せそうだったじゃない。見てるこっちまで幸せな気分になれたんだよ?わたしはそんな二人が羨ましくて仕方がなかった。

愛し合ってるんだなって、想い合ってるんだなって、ほんとにほんとに羨ましくて、目をそらしたいくらいだったの。


それがどうして…。


「どうして華乃がいるのに來乃がいないんだか。全くあの子は何時だと思ってるのかしら」


──す、すごいお姉ちゃん。お母さんの矛先が來乃になってる。

よし、せっかくだし龍成の迎えの時間までいちゃおう!


龍成の仕事が終わる時間までわたしは桜庭家に滞在することにした。


お母さんの後に來乃、お父さんが帰ってきて、久しぶりに家族全員で夕食を食べた。

わたしは龍成と食べようと思い少しだけ。


テーブルを皆で囲むと、わたしがまだ学生で家での居場所があった頃のように、話や笑いが尽きない楽しい食卓となった。

でもたまにお姉ちゃんの顔を盗み見ると、常に笑顔だけどふとした瞬間に陰が見える。


…すごく悩んでるんだと思う。


わたしはお姉ちゃんのあんな表情を今まで見たことがなかった。

お父さんとお母さんは気づいてなさそう。


お姉ちゃん、どうするんだろう……。
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