離婚前提策略婚。【改訂版】
「借りってなんだよ」

「……」


なんで黙り込むんだ?言いたくないようなことなのか?


「華乃?」

「わたしいじめられてた時があったの」


──……。


「小学校の時からかな。初めはふざけて名前をバカにされて」

「名前?」

「『さくらばかの』だから、ばかのって」

「…くだらねぇ。いかにも小学生が思いつきそうなもんだな」

「今はそう思えるけどね。その頃は自分の名前がイヤでしょうがなくて、親を恨んで…」

「そんなんいいとこ中学生までだろ。や、今時中学生は言わねぇか。くだらなすぎるっつーの」

「でもそのうち名前負けって言われるようにもなって…。好きな男の子がいたんだけど、告白もしてないのになんでかバレちゃって、その男の子が可愛くないくせにふざけんなって…。そこからエスカレートしていった」


……俺は幸いなことにいじめになんて関わったことがなく、目にしたこともなかった。

こんなくだらないことからいじめに発展していくものなのか。そんなことすら知らない俺って、ある意味幸せなんだろうな。
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