離婚前提策略婚。【改訂版】
「──」


いきなりすぎだっての。


「やはり経理課長と人事部長も組んでいた。他にも役員と社員が数名。そこまでの額ではないにしろ許されることではない。しかし裁判にはしたくはない。また会社のイメージが悪くなる」

「じゃ、どうすんだよ」

「示談を持ち掛けるが、向こうが承諾するかだな」

「示談?」

「横領した金額の返金と自主退社を促す。あいつらも裁判にしたくないだろう。勝てるわけがないからな」


自主退社ってことは示談が成立したら孝志もいなくなるのか。

借金があるのに大変だな。人間、悪いことはしちゃいけねぇな。必ず己に返ってくる。


……でも真奈美ちゃんは可哀想だ。孝志のやつ、もっときつい仕事をさせそうな気がする。

ま、孝志がデリやソープに落とそうとしたら、真奈美ちゃんだっていくらなんでも別れるだろ。


「社員が減る可能性があるんだ。お前はもっとしっかりしろ」

「え、なんで俺?」

「重役が一人減るというのは大きい。その上経理課長 、人事部長と会社にとって大事な人材もだ。お前も少しくらい役に立てるようになれ」

「とんだとばっちりだな」
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