離婚前提策略婚。【改訂版】
「何を言っている。自覚を持て。文句を言っている暇などない。夕方から二社、挨拶に向かう。今日はそれで終わりにしてやろう。真面目にやれ」


親父はそう言って社長室から出ていった。


自覚なんて持てるかよ。いまだに継ぐ気はサラサラないってのに。

毎日勉強と挨拶の繰り返しで、見張りなんてくそもできていない。

会社に来てる意味ねぇよ。


…だりぃな。


この計画も二ヶ月を過ぎようとしている。あと四ヶ月…。今よりもっと仕事がきつくなっていくんだろう。

もっと頭がおかしくなって、もっと体にガタがきて…。


俺、死ぬんじゃね?

半年もたずにストレスと過労で早死にコースだよ。うわ、やってらんねぇ。

今すぐにでもやめてやろうか。


会社なんて継ぐか!結婚なんてやってられっか!みんなやめてやる!離婚だ離婚…!!


…って…。


離婚ってことは、華乃と一緒にいなくてもよくなるってことだよな。一緒にいなくてもというより、赤の他人に戻るってことだ。
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