離婚前提策略婚。【改訂版】
それなら華乃は本当にただ巻き添えを食らっただけじゃねぇか。

なのに無理矢理結婚させた華乃を何も知らないくせに見かけだけで判断して、今度は離婚させようとしている。

そして婚約が破談になったからと、離婚させてまで華乃の姉ちゃんと結婚させようとしている。


──馬鹿かこいつら。


俺には狂ってるとしか思えない。

会社の為に人の人生を変えることに、何の疑問も持っていない。


結婚は始まりにしかすぎない。結婚してからが大変なんだ。

愛し合っている二人だからこそ幸せだと思える生活が、愛し合っていない男女にとってどれだけ苦痛かわからねぇのか?


──当たり前のように淡々と話すこいつらには、何を言っても無駄か。


…華乃の目には、俺はこの二人と同じように映っているのだろうか。


「華乃の姉ちゃんが承諾ってどういうことだよ。婚約破棄した直後だろ」


すぐにでも怒りをぶちまけそうになったが、なんとか冷静になる。

まともな会話にならなくなりそうだから。


「そのままだ。桜庭の昇進か左遷かを選ばせただけだ」

「──!」
< 300 / 461 >

この作品をシェア

pagetop