離婚前提策略婚。【改訂版】
「座って下さい。お茶でいいですか?それともコーヒーや紅茶の方が…」

「何も入りません」


俺が発した一言で、部屋が静まり返る。

華乃の姉ちゃんは持っていたグラスを静かにテーブルに置いた。


「俺が来た意味、わかってんだろ?」

「…なんとなく」

「それなら回りくどい話はいらないよな。俺は…」

「──」

「っ!!」


突然のことに驚いた。

見事なまでの平手打ちをくらった。頭の中は疑問符だらけになる。


「あたし、あなたを許さない」


怒りを全開に表した顔。何にそんなキレてんだよ…。


「華乃ちゃんを愛して結婚したんじゃないんでしょう?!」

「…それか」

「あたしの身代わりだか何だか知らないけど、どれだけあの子が辛いかわかる?!どれだけ苦しんだかわかる?!あなたにあの子を傷付けていい権利なんてないのよ!」


…そんなこと、言われなくてもわかってる。


「親父から何て聞いたんだよ」

「本当はあたしがあなたと結婚するはずだったと聞いたわ。あたしが婚約していたから、華乃ちゃんが結婚することになったんでしょう?」
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