離婚前提策略婚。【改訂版】
「しっかり真実を伝えてんじゃねぇか」


親父も麻友ちゃんも俺にはいいだけ嘘をついてきた癖に、こういう時はちゃんと話すんだな。


「華乃ちゃんが結婚すると言った時、あたし不思議でしょうがなかった。断ると言って家を出たのに帰ってきたら無理をした笑顔で、お父さんの為の結婚じゃない、愛があっての結婚だって言ったのよ」

「……」


あいつ…。


「あんなに嫌がっていたのに、出会ってすぐ結婚を決めるなんておかしいと疑ってはいたけど、華乃ちゃんがそう言うなら納得するしかなかった。あの時、何が何でも止めれば良かった…」


泣き崩れそうになるのを必死で堪えている。


そりゃそうだよな。今思うと俺ですら腸煮えくり返るわ。

俺のはき違えた自由の為に、華乃の人生の一部を汚した。


何を言っても許されることじゃない。

謝ることすら罪にも思えてくる。恨まれて当然だ。


──こうなったら悪役を貫き通すしかない。


「素晴らしい姉妹愛だな。そんなにお怒りの俺との結婚を、よく承諾したな」
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