離婚前提策略婚。【改訂版】
「華乃ちゃんの為よ。早く解放してあげて」


涙を流しながらも、その瞳は俺を見つめ責め立てる。


「妹の為にそこまで出来るか?随分ご立派だな。俺の顔を見るのも嫌そうだけど?」

「華乃ちゃんはあたしの生きる意味なの。あの子の為なら嫌いな人との結婚くらい耐えられるわ」

「生きる意味?華乃が?どんだけだよ」


ふっと小ばかにするように薄く笑うと、それに反応するかのように、華乃の姉ちゃんは真剣な声音で話す。


「あの子が幸せじゃないと、あたしの生きる意味なんてない」

「──は?」

「あなたには言っても無駄ね。まともな感覚をしていなそうだもの」


や、生きる意味って、いくら何でも重過ぎだろ。


「…華乃がいじめられてた時あんたに助けてもらったから借りがあるだのなんだのって言ってたけど、華乃じゃなくてあんたがそんなことを言うなんて意外だな」

「…その話、華乃ちゃんから聞いたの?」

「あと誰がいんだよ」

「…そうよね。華乃ちゃんはあたしといつも比べられてたわ。お姉ちゃんは可愛いのにねって、いつも言われてた。だから辛かったと思う」
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