離婚前提策略婚。【改訂版】
居たたまれないと思ってしまいそうなほどの真剣な表情。気持ちの強さが痛いくらいに伝わってくる。

こっちはこっちで病んでたんだな。姉妹揃って一応は想い合ってたってことか。


家族とはいえ、ここまで自分以外の人間の為に自分の人生を犠牲に出来るのは、家族愛に餓えてる俺には理解に苦しむが羨ましくもある。


「…ま、別におたくらの事情はどうでもいいけど、あんたは俺と結婚する必要ないから」

「…え?」

「華乃とは離婚してやる。でもあんたとは結婚しない。それだけ言いに来た」


ち、口の中が痛ぇ。

いきなりだったとは言え姉妹揃って馬鹿力だ。


──それだけ俺が憎いんだろうな。


「それって、お父さんはどうなるの?」

「あ?大丈夫だよ。なんかあったら俺に連絡しろ。俺の親父が何かしたらすぐに呼べ」

「なんかって…。あなたを信用出来ないわ」

「あんた、そんなに俺と結婚したいのかよ」

「──そうね。あなたが華乃ちゃんにどんなひどい仕打ちをしてきたか興味はあるわ。でもあたしは華乃ちゃんと違うから、きっと憎くて堪らなくなって寝込みを襲うと思う」
< 309 / 461 >

この作品をシェア

pagetop