離婚前提策略婚。【改訂版】
つーか俺って結構馬鹿だったんだな。あの状況で自分の気持ちに気付くだなんて、完全馬鹿だろ。

それとも気付かないふりをしていたのか?

女に本気で恋愛感情を持つなんて、考えてみると今までなかった気がする。


しかも相手が相手だ。

不器用で鈍感で素直じゃない、その上可愛げもない女に本気になるなんて、いい男の代名詞に傷が付く。


……それも今思うとくだらない意地だ。


素直じゃないのは俺も一緒だ。この期に及んであいつからの告白を待とうとしている。

女からの告白を待つだなんて男としてはかなり情けないところだが、こればかりは仕方ねぇ。


俺の勝手な都合で巻き込んだんだ。これ以上俺の気持ちだけで縛り付けてもおけない。もう結婚している必要はないのだから。
  

──それでもそばにいたいと思うのは愛情なんだろう。


けれど俺は、華乃に告白することさえ許されない。
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