離婚前提策略婚。【改訂版】
病院に行くと言ったのに、龍成は頭から手を離さない。

ギュッと閉じていた目を恐る恐る開ける。


目の前、視界がぼやけるくらい近くにある、龍成の顔。

唇は触れ合う寸前。


──どうしてそんな真剣な目をしてるの。


真剣さの中になんとなく迷いがあるような瞳。それがどこかわたしを切なくさせる。


「龍成?」

「…行くぞ。病院終わっちまう」


ぱっと顔を逸らして車から降りる龍成。


今のは一体…。


よくわからない龍成の心の内。今に始まったことじゃないし、疑問に思ったところでどうしようもない。

そう無理矢理自分を納得させようとしても、それはわたしの中に引っかかったままだった。
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