離婚前提策略婚。【改訂版】
ご飯を食べ終えると、お風呂の準備を龍成がしてくれた。


だ、段々主夫に見えてきた。わたしより全然気が利くわ。


「服、脱がせてあげようか」

「いらん」

「片手で脱げるのかよ」

「うるさい!脱げるわ!」

「あ、そ」

「わたしがお湯に浸かったら入ってきてね」

「はいはい」


洗面所のドアを閉め、時間をかけながら服を脱ぎタオルを巻く。

浴室に入り、湯船に浸かって龍成を待つ。


──ほんとに甘えちゃってるな。ただでさえ何もできないのに拍車がかかって面倒かけてるよ。

龍成、なんか楽しんでいそうにも見えるけど、心の中じゃ馬鹿にして笑ってるんだろうな。思いっきり子供扱いだもんね。


…もうすぐ偽装結婚も半分を過ぎる。


こうして一緒にいられるのもふざけあえるのも、終わりがあるから愛しく思えるのかな。


なんて物思いにふけっていると、浴室のドアが開き龍成が入ってくる。


「失礼しまーす」

「なにそれ」

「ソープ嬢の真似」

「馬鹿だね。…ソープなんて行ったことあるの?」
< 330 / 461 >

この作品をシェア

pagetop