離婚前提策略婚。【改訂版】
「とっておきの場所があるんだよ。楽しませてやるから」

「…いい」

「華乃ちゃん?とりあえずこっち向けよ」

「…いいって」

「華乃、だから…」

「だから行くって!」

「……は?」

「ドライブ。行ってもいいよ。でも行き先は決めないで」

「はい?」


どういうことだ?

──ていうか行ってもいいって、おい。


「行ったことがない所に行きたい。龍成の頭の地図にない場所」

「なんだそれ」

「適当に道がなくなるまで走って、着いた所が海だったりしたら素敵じゃない?!」


急に振り向き満面の笑みを浮かべる華乃。

子供のようなその表情に、さっきまでのギャップがありすぎだと吹き出しそうになる。


「素敵もなにも海の方向に走ったら海に着くだろ。方向音痴でもない限り」

「それじゃつまんないでしょ!ナビも地図も今日は禁止!」

「普通に標識出るだろ」

「…夢がない。つまらん男だ」

「わかったよ!んなら行くぞ!」

「うん!」
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