離婚前提策略婚。【改訂版】

戸締まりをして部屋を出る。


「手を繋がなくても大丈夫そうな気がする」


エレベーターを待っている間に、華乃は真顔で言った。


「慣れたのか？」

「慣れたってより、龍成と一緒だと大丈夫な気がする」

「…なんで」

「やっぱり慣れかな」

「どっちだよ」


エレベーターが到着し、二人で乗り込む。


「本当に手を繋がなくてもいいんですか～？」

「……大丈夫っ、思ったより平気！」


──顔、青いんですが。


「無理しなくても…」

「大丈夫だって！」


…何をそんなに頑張ってんだか。

どういうつもりか知らねぇが、可愛いような可愛くないような。よくわかんねぇな、こいつの態度。


一階に着くと華乃は颯爽とエレベーターから降りた。


「ほら！大丈夫そうだよ！これでわたし一人でもマンションから出入り出来る！」

「自信満々に言われても俺がいなきゃ駄目なんだろ」

「あ…。でもかなり慣れてきたからもう少しできっと平気になるよ！」


もう少し…か。


「あんま無理すんなよ」

「してないし」


変なとこで意地張って、おかしいやつ。


駐車場に行き車に乗り込む。シートベルトを締め、エンジンをかけ発進。


「やっぱ助手席って違和感あるな」

「それでは奥様、どちらへ向かいますか」

「うわ、サングラスするとますますチャラい」

「眩しいんだよ」