離婚前提策略婚。【改訂版】
こらこら、さすがにそれは熟女に失礼だろ。


「ウケるじゃなくて、」

「こら、誰が熟女だ」


──え?


振り向くと華乃が仁王立ちしていた。


「…なんで仁王立ち?」

「わたしのどこが熟女だってのよ」


面白いくらいに怒ってんな。って、そうじゃなくてこいつどこに行ってたんだよ。


「え、まさかこの人と来てたの?」


ギャル三人は目を丸くして華乃をガン見している。


「失礼、奥様」


笑って誤魔化そうにも、華乃のオーラは怒りを表したまま。


「わたし帰りますわね、旦那様」


そう言い残し、駐車場に向かって華乃は足早に歩いて行く。


「ちょっ、お兄さん!あの人と結婚してるの?!」

「そう、俺の奥さん。悪いな、熟女好きだなんて嘘ついて。じゃあな」


力が抜けた彼女達の手をほどき、俺は華乃を追いかけた。


「華乃ちゃん、どこ行ってたんですか」


追いつき声をかけたが、華乃の歩くスピードは緩まない。競歩かっつーの。


「わたしにかまわないであの子達と遊んでたら?車で待ってるから」

「なにふざけたこと言ってんだよ」
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