離婚前提策略婚。【改訂版】
「そうなるな。お互い元から印象悪いし、離婚の時後腐れなく別れられそうでいい。一年は長いから最低半年は結婚していよう。あまり短すぎるのも世間体が悪いし。それくらいなら離婚しても性格の不一致とか価値観の違いとかで理由つけれるし、一回でも結婚すれば俺の親の気も済む。バツがついたからもう結婚したくないとも言えるしな」

「随分勝手ね。自分のことばっかりでわたしの意見は聞く耳がないってこと?さっき言ったよね。あんたと結婚なんて絶対いやだって」

「実際俺の話を断ることはあんたにはできない」

「……なんでよ」

「あんたの父親のクビがかかってる」

「──!」

「部長なんだろ?結構な給料もらってると思うけど。親父さんの歳じゃ再就職も難しいと思うよ?家族の為を思ったら断るなんて馬鹿なことはしない方がいい。あんたが家族を養えるなら話は別だけど」

「……あんた、人として最低なこと言ってるってわかってる?」


崇憲が最低な男だと思ってたけど、こいつは違う系統の最低な男だわ。こんなの脅しじゃないの。


それなのにこの男は、わたしの言葉に笑顔を向けてくる。
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