離婚前提策略婚。【改訂版】
実際華乃は子供のように泣いていた。

泣くほどの何があったってんだ。


「…海とじゃれてたら」

「うん、」

「楽しくて」

「うん、」

「夢中になって」

「うん、」

「気づいたら、手にも足にも虫が…」

「…それで?」


声をつまらせながらゆっくり単調に話す華乃。よほど怖い目に遭ったんだろう。


「龍成にとってもらおうとしたら女の子に鼻の下伸ばしてたから、半泣きしながら自分でとったの!怖かった怖かった!めっちゃおっきかった!龍成の馬鹿!役立たず!」

「…は?」


え、てことはあれか?虫か?虫が原因でこんな状態になってたのか?


──嘘だろ。


「え~っと…。華乃ちゃん?今いくつだっけ?」


虫で泣くとかありえねぇだろ。


「うるさい。喋んなハゲ」

「おいこら、クソガキ」

「なんだこらエロガッパ」

「…たち悪い酔っ払いかよ」


相変わらず変な女。酔っ払いの方が可愛く思えるわ。
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