離婚前提策略婚。【改訂版】
それが間違いだと気づいてから、全ての自信が崩れていった。

そしてそのせいで自分の気持ちに向き合わされた。


…俺って結構へたれだったんだな。自分に落ちるわ。


華乃の前にいると俺がしっかりしなきゃと思う反面、なんとなく、本っ当になんとなくだけど、どこか支えられている気がする。

こいつの為にやるか。

そう、自然に思える。


──はぁ。


無意識のうちにため息が出る。


計算外もいいとこだよ。俺が華乃を落として「離婚したくない」と言わせる予定だったのに、まさかそれを願う時がくるなんて。

策士策に溺れるとはこのことか。


俺、策略家には向いてねぇわ。



─────


──数時間かけてようやくマンションに到着。

華乃は爆睡したままだった。


やっぱ帰りは行きより早いんだな。ま、夜だしな。しかもほぼ一人のようなもんだったし。

つーかいつまで寝てんだよ。一体今日何時から起きてたんだ?


エンジンを切り、起こそうと華乃の顔を覗く。


「──」
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