離婚前提策略婚。【改訂版】
当たり前と言ったら当たり前なんだよね。龍成は元から結婚をしたくなかったんだから。

わたしとの結婚は自由になる為の結婚だったんだもの。早く離婚したいに決まってる。


なのに優しくされると嬉しくて舞い上がって。もしかしたら龍成もわたしと同じ気持ちでいてくれてるのかも…なんて、自分に都合よく勝手に考えてしまう時があるの。


そんなわけないじゃない。

嬉しい気持ちを正反対の態度で返すわたしのことなんて、龍成が好きになるはずがない。


わかってるの。

でも男の人にこんなに優しくされたのは初めてだったから、男の人にこんなに自分をさらけ出せたのは初めてだったから、せめて半年という期限までは一緒にいたかった。


龍成の奥さんでいたかった。


神田華乃で、いたかった…。


「華乃ちゃん?」
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