離婚前提策略婚。【改訂版】
そうなるとお互いここまできても素直になれなかったけど、素直になれないままでいて良かったのかもしれない。

仮に俺が素直になったところで、華乃は本当の幸せを手に入れることが出来るか?

いいだけ傷つけられて振り回されて、戸籍まで汚されて、そんな質の悪い男といたって未来なんて見えない。


俺の親にまで嫌な思いをさせられて、普通に考えれば憎くてしょうがないくらいの相手だろ。


こうなると俺もあいつの前の男も大して変わんねぇな。

うわ、ショックでけぇわ。あの男と一緒かよ。


…同じようにあいつを傷つけたんだ。そりゃそうだわ。俺ってマジで最低な男だったんだな。


今さら気づいても遅すぎだ。これ以上にないくらい、華乃を傷つけたんだから。

見てるこっちが辛くなるほどの顔をさせたんだから。


…あれはまじできたわ。帰る前のあの表情、苦しくて泣くのを必死で堪えていたんだろう。

胸がえぐられたかと思った。見ていられなかった。


──明日、どんな顔をして来るだろう。


きっと、本当に最後になる。


二度と会わない方がいい。あいつはもう、傷つく必要なんてないんだから。


二度と会わない方が、華乃にとって何よりも最良なのだろうから。
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