離婚前提策略婚。【改訂版】
策略婚の終わり

華乃の涙

「─來乃?玄関開けて」

『え?華乃姉、家に来てるの?』

「うん。早く」

『待ってー。今行くー』


涙が少し落ち着き家に入ろうとしたけれど、当たり前に玄関に鍵がかかっていた。

電話をするとやっぱり來乃は起きていた。


「お待たせ!って、なにその顔!」

「気にしないで」

「無理でしょ!」


來乃を相手にせず中に入る。


「どうしたの?!ま、まさか龍成さんと何かあった?!」

「静かにして。皆寝てるでしょ」


階段を上り自分の部屋に向かうわたしの後を、來乃は追いかけてくる。


「華乃姉っ」

「ありがとね。おやすみ」


部屋に入りドアを閉めようとすると、來乃に止められた。


「待ってよ!ほんとひどい顔だよ!一体どうしたの!龍成さんと喧嘩でもしたの?!」

「…そう。喧嘩しちゃった。だから当分家にいるわ」

「当分って?!いつまで?!早く仲直りしなよ!」

「…あいつが迎えに来るまで」


そんなこと一生ないからね。
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