離婚前提策略婚。【改訂版】
「あっ…。わたし、ここで待ってる!あとは任せた!」

「はあ?自分で出したいって言ったんだろうが」

「ね!なんかそんな気分じゃなくなったっていうか!まぁ、よろしく頼むよ!」

「わけわかんねぇヤツだな。いいわ、行ってくる」


龍成は首を傾げながら、一人区役所に入っていった。

後ろ姿を食い入るように見つめる。


これで終わりなんだ。
これで終わりなんだ。


また桜庭華乃に戻るんだ。


神田華乃になることはもう二度とない。

龍成の奥さんでいられる最後の瞬間。

龍成がわたしの旦那様でいてくれる、最後の瞬間。


……泣かない。泣くな、華乃。


元に戻るだけ。

ううん、前よりは色んな意味で成長できた。

わたしにとってすごく意味のある結婚だった。


たった三ヶ月でも、わたしの人生に大きく残る、龍成との三ヶ月。

一生忘れられない、一生忘れたくない、大切な結婚生活──。
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