離婚前提策略婚。【改訂版】
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「何見てんの?」

「え、空?」


龍成を待っている間、区役所の入り口の横で、泣かないようにと目を見開き上を向いていた。


「楽しい?」


龍成もわたしの真似をして、壁を背に空を見上げる。その距離が変わらなくて、なんだか嬉しかった。


「眩しい。ていうか終わったの?」

「滞りなく」


──。


「こんな簡単に受理されるものなんだね」

「そうみたいですね」

「…」


こういう時って何を言えば……、あ。


「これ、返すね」

「ん?」


わたしは左手の薬指から指輪を外した。


「…返されたとこでどうしようもできねぇんだけど。記念に持ってれば?」

「龍成って記念も好きだよね。全く、なんの記念なんだか」

「好きっつーか…、あ。」

「え?」


龍成も自分の指輪を外し、わたしに差し出す。


「これ、華乃が持ってろよ」

「へ?なんで?」
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