離婚前提策略婚。【改訂版】
「俺は華乃の指輪を持ってるから。華乃が再婚したい相手が見つかった時、俺の指輪は捨てろ」

「な、なんでそんなことしなくちゃいけないの」

「だから記念だって。別にいいだろ」

「…変なの」


そう言いながら二人で指輪を交換する。


「…じゃ、偽装結婚、お疲れ様でした!」


龍成がふざけて敬礼をする。


「あほだね」


二人でふっと笑い合う。


「俺、行くとこあるからここでお別れ」

「え?別に送っていってもいいけど」

「や、いいわ。マジで今までありがとな。気をつけて帰れよ」


…もう、お別れか。


「うん。元気でね」

「華乃もな。悪い男に引っかかるんじゃねぇぞ」

「お前が言うな」

「なんでだよ。俺はいい男だろ」

「ばーか」


二人とも暗い雰囲気にならないように、無理に明るくしていた気がする。


「幸せになれよ」

「幸せになってね」
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