離婚前提策略婚。【改訂版】
──華乃と別れたあと、俺は悠香のマンションに来ていた。

華乃と住んでいたマンションには全て置いてきた。親父と麻友ちゃんと決別するつもりでカードも残した。

手持ちの現金は少なく、とりあえず居候させてもらう気で悠香を選んだ。


俺の目的であった自由がこれから始まる。

それなのに気分は上がるどころか落ちていく一方で、心が何かに捕らわれたまま、ただ動いているという感覚。

自由になったはずなのに満足に呼吸もできないくらい息苦しく、感情が欠落でもしたかのようだ。

悠香にベッドの上で抱きつかれても何も思わない。


「悠香、真奈美ちゃんは?」

「え?ちゃんとやったよ!マナちゃんにわたしの客、横流しすればいいんだよね?全員じゃないけどマナちゃんを指名するように言ったし、かなり売り上げいくはずだよ」

「ん、さすが悠香。千葉専務は店には行ってないんだろ?」

「うん。いきなり連絡も取れなくなって店にも来なくなった。ね、なんでマナちゃんなの?マナちゃんとはどんな関係なの?」
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