離婚前提策略婚。【改訂版】
「華乃!大丈夫か?!」


しゃがみ込んで思いっきりリバースしたわたし。

そんなわたしの背中を、追いかけてきた崇憲がさすりだす。


「う゛…。大丈夫だから…。触るな」

「んなこと言ってる場合じゃないだろ」


んなこと言ってる場合じゃなくても、イヤなものはイヤだ。


「余計吐くわ……、う゛。」

「華乃?」

「…もう…。だから大丈夫だって…」


ふと顔を上げると、そこの通りはラブホ街だった。


最悪…。早く帰ろう…。


少しスッキリしたので立ち上がった、その時──。


「あれ?なんか見たことあると思ったら、華乃ちゃん?」


…え…。この声って…。


「…龍成…。」


──な、なんでここに龍成が…。しかもこのシチュエーションでこのタイミングで、全て示し合わせたかのよう。


まさか崇憲が?!

いや、いくらなんでもそこまでは…。


「龍成さん、知り合いですか?」

「──」
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