離婚前提策略婚。【改訂版】
笑顔でわたしを見る龍成に、わたしはどう反応すればいいかわからなかった。


「てめぇ、ふざけんなよ」

「わっ、崇憲!」


今にも龍成に殴りかかりそうな崇憲。

龍成の胸ぐらを掴んでいる。

わたしは力が入らないながらも後ろから抱きついた。


いまだにこいつの存在の意味がわからないけど止めなくちゃ!


「ふざけんなもなにも俺ら他人になったし、俺がどこで誰と何をしてようが勝手だろ」

「──」

「…他人、って…」

「あれ、華乃ちゃん言ってないの?離婚したこと」

「……」


めんどくさ…。


「わたし帰る」


もうなにもかもどうでもいいわ。勝手にやってて下さい。


振り返り競歩並みに歩みを進める。リバースした物体を残して。


「華乃っ」

「華乃ちゃん、元気でな」

「お前…。華乃を幸せにしろって、俺言ったよな?」

「そうだっけ。でも俺がお前の頼みを聞く義理なんてねぇだろ」

「──っ。…華乃っ!待てよ!」
< 419 / 461 >

この作品をシェア

pagetop