離婚前提策略婚。【改訂版】
「えっと、華乃だっけ?」

「はい。桜庭華乃です」

「俺、神田龍成、よろしく」


にこやかに微笑む。とりあえず愛想はよくしないと。勘違いして惚れるなよ。


「よ、よろしく…」


顔赤らめるなよ。俺は結婚する気なんて全くないんだから。


「ていうか麻友ちゃんから聞いた話と全然違うんだけど、本当に華乃だよな?」 


これ、まじで別人だろ?麻友ちゃん、そこまでボケてはいないはず。


「…麻友ちゃん?」

「俺の母親」

「お母様からはどのように聞かれてたんですか?」

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花って感じの大和撫子だって聞いてたんだけど、なんかイメージ違うな」


ほど遠くて驚きを隠すのが大変だよ。こいつに褒め言葉なんて何一つやれない気がする。


「ま、本当にそんな子が来たら困るけど。華乃さ、俺と結婚しても無駄だよ。俺、会社継ぐ気ないから。お金目当てにしても社長夫人目当てにしても、どっちも叶えてあげられない」


だから結婚なんて諦めてくれよ。


「あのっ!」
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