離婚前提策略婚。【改訂版】
「親からすれば子供はいくつになってもガキだ。俺からも来るなと念を押したから大丈夫だ。でも本気でお前を心配してたし、本気でお前を後継者にしたがってた」

「…なんでまた」


そこまで俺に継がせたがる意味がわかんねぇ。


「会長がどうしてもお前がいいらしいぞ。それにお前が挨拶に行った取引先のお偉いさんは、皆お前を気に入っているらしい。良かったな。やっぱお前、モテんだな」

「おっさんにモテても嬉しくないわ!」

「スカウトなんてくだらねぇこと辞めて会社に戻れよ。お前の居場所はここじゃない」

「奏くん、いくら俺が邪魔だからって…」

「俺があの子とうまくいったら、否応なしに即行出てってもらうからな」

「うわ、情の欠片もねぇな。あの子って誰か知らねぇし」

「当たり前だっつーの。男二人で暮らして何が楽しいんだよ」

「そりゃくそも楽しくねぇけど」

「女の家に行くのが嫌なら早く実家に戻れ。お前の両親、泣いて喜ぶだろ」

「あそこまできついこと言って、どの面下げて帰るんだよ」

「その情けない面をさらして帰るんだよ」

「…おい。」
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