離婚前提策略婚。【改訂版】
「明日にでもあんたの家に行くから」

『え?!なんで?!』

「挨拶にだよ」

『は?!いらないんだけど!』


こいつ…。


今まで俺がどれだけ色んな女に親への挨拶せがまれて断ってきたと思ってんだよ。俺から挨拶に行くって言い出すなんて奇跡だっつーの。こっちだって行きたくねぇよ。


「社長の息子として、挨拶は大事だろ?」

『…あ、そっか…』

「その代わり結納と式はやらないから」

『…あ、そう…』


これなら文句ねぇだろ。


「あと隣町に引っ越すから荷造りしとけよ」

『は!?一緒に住むの!?』

「当たり前だろ。結婚するんだぞ」

『…あ、そうだよね』

「大丈夫、間違ってもあんたに手を出したりしないから」

『……そんなのわかってる』


この反応。

やっぱこいつ、男に縁がない人生送ってきたんだな。可哀相に。

俺との結婚期間くらい、少しは楽しませてやるか。
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