離婚前提策略婚。【改訂版】
「あとは俺の指示があるまで勝手なことするなよ。何があっても余計なことは言うな」

『わかってるから!用はそれだけ?!じゃあね!あと明日わたしは家にいないから!』

「は!?明日いない!?って勝手に切るなよ!」


なんだ、この女。いきなりキレやがって。あいつがいないんじゃ挨拶に行っても意味ないだろ。


……いや、いなくても別にいい。あいつの親がいればいいんだ。俺一人の方がスムーズにいくはずだ。




─────
 



「龍成?いるんでしょう?起きてちょうだい」


……ん?麻友ちゃんの声…。

考え込んでいるうちにそのまま眠ってたのか。


ゆっくりと立ち上がりドアを開ける。


「おはよう。鍵なんてかけて、お父様怒ってたわよ?出張の前にあなたの顔、久しぶりに見たかったみたい」

「…じゃあ親父、もういない?」

「とっくにね。お父様もあなた達の結婚、すごく喜んでたわよ。あと桜庭さんのお宅に電話したから」


よし、会わずに済んだな。──って、電話?
< 57 / 461 >

この作品をシェア

pagetop