離婚前提策略婚。【改訂版】

華乃の策略

「わたし結婚するから」


わたしの帰りを待っていたのか、皆揃ってリビングにいた。わたしの言葉に驚いた顔をするものの、そのあとの家族の表情はバラバラだった。


「華乃…!本当か!?」


驚きながらもやっぱりどこか嬉しそうなお父さん。


「華乃姉、結婚すんの?!やった!セレブだ!」


無邪気に喜ぶ來乃。


「いい人だったの?」


心配そうなお母さん。


「……」


お姉ちゃんだけは、無言のままわたしを見つめていた。


「本当だよ。会ってみたらすごく素敵な人で、彼もわたしを気に入ってくれたの」


嘘だらけだよ。頑張れわたし!


顔、ひきつってないかな…。


自分で言ってて虚しくなるような偽りの言葉たち。それでもここにいる皆の幸せの為だ。きっとわたしの人生は初めからこうなるようになってたんだ。


「ほ、本当に本当なの?冗談とかじゃなくて?」


お母さんは信じられないという顔で念を押してくる。


「本当に本当だよ。わたし、龍成さんと結婚します」

「華乃、お父さんの為とかじゃないよな?」


お父さんの言葉にズキッと心が動く。


だめ。顔に出しちゃ。
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