離婚前提策略婚。【改訂版】
ようやく桜庭家を出て会社に向かう。


麻友ちゃん、余計なことしてねぇだろうな。

そればかりが気になってタクシーの中で一人焦る。


思ったより面倒なことが多いな。誰だよ、結婚は簡単にできるなんて言ってやがったのは。


ま、一般的には結婚より離婚の方が大変だろうけど、俺の場合離婚は楽だからな。面倒なのは今だけだ。

半年経ったらその分遊びまくってやる。


なんて考えているうちに会社に到着。

会社には数えるほどしか行ったことがない。中学以来だった気がする。

麻友ちゃん、社長室だよな?親父もいないんだし、多分そうだろ。


会社に入ると、なんとなく視線を感じる。


──そうか。こんな茶髪のやついねぇもんな。そりゃ目立つわ。


気にせずエレベーターに乗った。


うわ、おっさんだらけだよ。乗らなきゃ良かった。


「専務、例の会議は…」

「第三会議室だ。確認しただろ」

「申し訳ありません。社長は海外出張なんですよね?」

「ああ。しかし奥様がいる」

「それなら却って応接室の方が」

「急な来客があったら困る。変更はしない」
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