離婚前提策略婚。【改訂版】
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「來乃ちゃん、ありがとな」


次の日。資料の山の一部を片付け会社から桜庭家に向かい、あいつの妹から婚姻届を受け取る。


「はいっ!お兄さん、また家に遊びに来てね!」

「うん。今度お邪魔させてもらうよ」

「やった!それにしてもどうしてお兄さんみたくかっこいい人が華乃姉を選んだの?」

「え?それは君がもっと大人になったら教えるよ」


俺の自由の為だって言ってもまだわかんねぇだろ。


「意地悪~!今度二人の家に遊びに行っていい?」

「いつでもどうぞ」

「わーい!友達連れて行っちゃお!」


ガキは無邪気で可愛いな。


桜庭家を出て車に乗り、婚姻届をチェックする。


…なんだこのガキくさい字は。


あいつ、こんな字書くのか?それとも面倒くさがって妹にでも書かせたか。

ま、記入漏れも誤字脱字もないし受理はされるだろ。


区役所に到着し婚姻届を提出すると、あっさり受理された。これであいつと俺は夫婦になった。結構順調にきてる。この計画、成功しか見えない。


軽い足取りで車に戻り、あいつにメッセージを送った。


【婚姻届出したから。今日から半年間よろしく。明日引っ越し業者が行くから荷物まとめとけよ】


業者と一緒に俺も迎えに行ってやるか。少しくらいは新婚気分を味わいたいだろ。
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