離婚前提策略婚。【改訂版】
「お客様、でしたらこちらに座ってお待ち下さい。もうすぐ華乃ちゃん、上がりますので」


わたしの反応を察知したのか、店長が割って入ってくれた。


「あ、ありがとうございます」


あいつは笑顔で席に着く。


「お飲み物はいかがですか?」

「アイスで」

「かしこまりました」


店長がわたしの腕を引きながらキッチンに向かう。


全く以て意味不明。あいつはなにがしたいの?わたしを監視にでも来たの?入籍はしたんだから問題ないんじゃないの?


頭にぐるぐる疑問符ばかりが浮かぶ。


「華乃ちゃん、もしかして彼氏!?」


こっそりわたしに耳打ちをする店長。


「えっ!?ち、違いますよ!」


どうしよう!結婚してることは隠したいのに、なんて誤魔化せば…!


「華乃さん!あのイケメン、彼氏さんですか!?」

「ゆ、有希ちゃん…」


年下の大学生の有希ちゃんまでキッチンに入り訊ねてくる。


「華乃さんってあんな感じの人がタイプなんですね!意外だな!」

「違うから!全然タイプとかじゃないから!」

「めっちゃイケメンじゃないですか!羨ましいな~!迎えに来てくれるなんて優しいですね!」
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