裏切りの真紅~戦乙女と紅番外編~
ざわめきは、どよめきに変わった。

「紅様!?」

「それはどういう!?」

口々に言う精鋭兵達。

その証である紋章までも、困惑を表すかのように輝きが鈍る。

「まさか…」

勘のいいのがどこにも一人はいるものだ。

精鋭兵の一人の表情が変わった。

明らかな疑念を、俺に向ける。

「…裏切りの真紅か…なかなか響きがよくて気に入っていたのだがな」

ジリ、と。

摺り足で片足を僅かに進める。

その動きに気づいた者は誰一人としていない。

「今日で使いおさめだ!」

その言葉と同時に。

俺は足元に突き立てた双剣を前方に蹴った!

その蹴りの威力によって地面から抜き放たれた双剣は、高速で回転しながら精鋭部隊の最前列…槍兵の数人を斬りつける!

隙はそれだけで十分だ。

俺は槍を腰溜めに構え。

「まずは十人」

一突きで一殺。

瞬時にして十人の槍兵の喉元を貫いた。



< 6 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop