嘘に焙り焙られる
タイムリミットの警鐘
ハロウィン鍋パーティー兼宅飲みは、いつの間にお開きになっていた。

しんとした早朝の空気を感じ取り、意識が覚醒していく。


【先に帰るね。お邪魔しました。正臣 みひろ】
親友カップルの正臣(まさおみ)とみひろは、いつの間にか帰ったようだ。
散らかったこたつの天板に、熟年夫婦のよう連名でメモの切れ端を残し去った後だった。


時刻は、太陽が昇りはじめのようで薄暗い明かりの中あたりを見渡す。

あの熟年夫婦を醸し出したカップルは、申し訳程度に片付けをしたように見える。



依然として直矢から譲り受けた私のセミダブルベットには、元の持ち主である直矢が占拠しており、大の字の様相を見せている。


恭兵は、角を挟んだ隣の席の敷布の上で寝息をたて伸びている。

寒くないのだろうかという漠然とした感情と風邪を引いては困ると、起毛した毛布を引っ張っりだし、さりげなく掛ける。


こたつから完全には出たくない欲望と上半身のみを乗り出して、手に取れる範囲の無機質な食器類を音を出さないようまとめた。

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