嘘に焙り焙られる
虚構に虚構を重ね
何もなければ、ゆっくりした休日を迎える予定だった。

さっきから直矢の無骨な携帯が鳴っているのは気付いている。

「彼女さんの所、行っておいで。大丈夫だから、ほらほら」と背中を押す。

「明日の撮影、朝4時に迎えに来る。よろしく。じゃ」と短い伝言と共に直矢は出かけて行った。

と言っても2部屋隣の距離である。


一人になりたかった。

本音だ。

奇妙なルームシェアも、おそらくもう時期終わりが来る。

直矢は、ほぼあちらの部屋で寝泊まりすることが多い。

したがって、桐子の実質一人暮らしのような生活だったりもする。

さっさと片付けを始めておこう。

昔から身の回りの物は少ないほうだ。

すぐ引っ越せるよう段ボールに詰めるのも楽だろう。

クローゼットの服の整理と試供品の束の片付けくらいで、食器も事足りる。

ちょっとした大掃除の感覚で片づけを進める。


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