嘘に焙り焙られる
まじまじと接近され観察される。

「とーこ?」

恭兵の声のトーンが低めに変わった。


ちょいちょいと反対の長い指と手のひらが見え、さらりと行われるえげつない手招きまでされてしまう。

拒否できない雰囲気を醸し出され、昨日までの恭兵はどこに行ってしまったのだろうかと疑問が沸きながらも、こんな風になるなんて一度も思わなかった故に恥ずかしい。


一向に離してくれない縛り付けられた右手が、全てを物語っていた。


床上50cmのこたつにおける攻防。

恭平から男性的なオーラが透けているのは、どうやら現実のようだ。



これは、からかわれてるのかな。

悪い冗談だよね。

もう何を考えているのかわからない状況に、思考を張り巡らせるけれども、答えなんてやっぱり知りたくなくて、無言が生まれる。

直矢がすぐそこのベッドに寝ていることも思い出しますます、泥沼の思考回路。



恭兵は、余裕そうでまるで私の思考を見透かし、楽しんでいるようだった。

なんか最高にむかつくのに、雰囲気もへったくれもなくて

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