嘘に焙り焙られる
「こんにちはー。あれ?」
直矢が手慣れた様子でドアを静かに開けるものの返事がない。
「彼女さん、もしかして今日いない?」しばらくぶりに部屋を訪れるも、留守の様子。
「買い物行ったままだな」
と、直矢はメモ書きをクシャッと丸めていた。
「挨拶できなくて残念だなー。荷物ここでいい?」
「ああ、悪い」
玄関の一角の靴棚付近に桐子は鎮座させる。
これで本当に直矢との接点は今より薄れるだろう。
「俺がいないからって、この世界から死ぬなよ」
「お互いにね。長居も悪いし、帰るね」
直矢の返答を待たず、桐子は玄関から急ぎ足で去っていった。
まさか決心が揺らぎそうになるなんて、微塵も思っていなかったからだ。
私も知人に戻らないとって話なのに。
無機質な共用の廊下を渡り、そう離れていない自室に帰る。
荷物が減ったなあ。否が応でも自室の広さが、目立つようになった。
無駄に大きいベッドが、最大の荷物だけど、流石にこれは捨てられない。
直矢が手慣れた様子でドアを静かに開けるものの返事がない。
「彼女さん、もしかして今日いない?」しばらくぶりに部屋を訪れるも、留守の様子。
「買い物行ったままだな」
と、直矢はメモ書きをクシャッと丸めていた。
「挨拶できなくて残念だなー。荷物ここでいい?」
「ああ、悪い」
玄関の一角の靴棚付近に桐子は鎮座させる。
これで本当に直矢との接点は今より薄れるだろう。
「俺がいないからって、この世界から死ぬなよ」
「お互いにね。長居も悪いし、帰るね」
直矢の返答を待たず、桐子は玄関から急ぎ足で去っていった。
まさか決心が揺らぎそうになるなんて、微塵も思っていなかったからだ。
私も知人に戻らないとって話なのに。
無機質な共用の廊下を渡り、そう離れていない自室に帰る。
荷物が減ったなあ。否が応でも自室の広さが、目立つようになった。
無駄に大きいベッドが、最大の荷物だけど、流石にこれは捨てられない。