嘘に焙り焙られる
そんなことはつゆ知らず桐子は、田所さんから送信されたお仕事一覧をボー然と眺めてた。
余白を許さないかの如く、文字通り埋められていくスケジュール。
仕事を増やして欲しいと事前にリクエストしたとはいえ、まったく極端だ。
田所さんの心残りなミスの埋め方は尋常ではなかった。
ドラマの端役から、企業の協賛のパンフレットの打ち合わせ、CMのオーディションと如何せん、炎上の生贄台を派手に飾り立てようとしているのか。
いやいや、ネガティヴ思考は、排除排除!
といたって前向きに桐子は気合を入れ直す。
例えそうであったとしても、魔女に化ける決意は揺るがない。
現実と虚構を行ったり来たりの忙しい日々を繰り返す。
みひろに、マニキュアの新商品の発色情報の教えを請うけど有意義な時間なんて過ぎ去るの早すぎて、時間間隔が狂う。
「正臣と今度撮影があって」
「あー新ブランドお披露目のファッション誌のやつ?」
「そうそう。」
なんてみひろと会話をしたのが久しぶりの休みの日。
もう、気づけば撮影当日だ。
水族館内のスチール撮影ロケだ。
ロケ撮影を気分転換としての好機と考える。
正臣とファッション誌のデートプラン企画の撮影だった。