嘘に焙り焙られる
すっかり撤収作業も御偉方との挨拶も終わり、田所さん運転の送迎車の中だ。

さっきの2ショット画像を貰い受け、スマホの画面上の文字で正臣と駄弁る。

「直矢と連絡取れてる?」

「短期間の間、離島で映画撮影って聞いたよ。あ、これ内密に」

「じゃあ飲みに来られないわけだ」

「船便が週に1本って言ってたかな」

「マジかよ。あーもう言っちゃうか。桐子の引越し祝い兼ねた飲みを計画中で」

「あ、だからさっき田所さんとコソコソ話してたのって、私の空き時間の確認?」

「そっ。全然教えてくれなかったけどね。だから空いている日教えて?」

「ほぼ夜の深い時間しか空いて無いかも。エステやらジムまでスケジュール埋められて。あっ空の日あった。」

「そんな貴重な空いてる日を使うの忍びないから、前日夜9時くらいから軽めの飲み会にしようか」

「スケジュールそっちは大丈夫?」

「大丈夫。来れない人は来られないだけだから、例のワンピース着られる近場の個室居酒屋予約しとく」

慰めになってないようなと感じるがこれは真理だ。
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