嘘に焙り焙られる
恭兵はいつから直矢と私がビジネス関係と気付いたのだろう。
マネージャーを前にして、他言無用の誓約書を一筆書かされている光景は、本来ならあってはならない状況だ。
友達だと思っていただけに男を見せられては前のように戻れない事は、わかっていたつもりだ。
今でも心の奥底でジリッとした硝煙が燻り続けていた。
マネージャーの田所さんにも、「プライベートは、水村恭兵に金輪際関わるな」と釘を刺されてしまう始末。
直矢との関係は今や週刊誌のレギュラーと言っても過言ではない関係だ。
「いい友人関係です。」と事務所がいくら発表していても、付き合っていると書かれる上に、好感度も双方とも悪い印象を持たれず、むしろゴシップ誌の売上があがるとさえ言われゴシップ記者の間では救世主扱いだ。
公然とした巷の噂に育っている上に、タチが悪いのだ。
そうこうしているうちに双方の事務所関係者といつの間にか妥協点が結ばれビジネスの合意となった。
実際は完全に外堀を埋められ、お互い身動きが取れないことが実状だ。
彼氏であって彼氏ではない。
ビジネス彼氏。それが私と直矢の真実だ。