嘘に焙り焙られる
「追い打ち掛けるようで悪いけど。
恭兵は、たぶん桐子のこと残念ながら諦めそうにないと思うよ。
今まで確信持てなかったけど、今日、確信した。
俺と恭兵の付き合い長いの知ってるでしょ。
事務所も一緒だし。田所サン、どーする?」と直矢は煽るように尋ねる。
「・・・はあ。少し考えさせてください。」ますます田所さんの背中が、小さく丸まっていく。
「そもそも直矢は、どうして今日の鍋パーティーに恭兵を招いたのよ。」
「ブラフのつもりが、逆に見透かされてしまったパティーン。」
悪びれる様子もなくテヘぺロをかます直矢の足を踏みたくなる。
というか踏んだ。静かに踏んだ。
この様子の直矢は最初からすべて確信犯に違いない。
田所さんさえ、直矢を呆れまじりに睨みつけていた。
「地味に痛いんですけど。」という囁きの直矢を尻目に
「地味に痛くしてるの。」涼しい表情で受け流す。