その唇で甘いキスをして…
微妙な空気がさっきから流れてる。

カオルはアタシの気持ちを疑って
アタシは自分の気持ちを隠した。

「オレと別れるつもりかよ?」

そう言われると泣きそうになる。

ハルさんのところに帰りたいけど…

カオルが居なくなるのは耐えられない。

でもどちらか1人しか選べない。

アタシはカオルを選んだはずだった。

「別れたくないよ。」

そう言うとカオルがアタシにキスしようとした。

アタシはそれを反射的に避けてしまった。

「ここはハルさんのマンションだから。」

なぜか弁解していた。

「じゃあ外に出ろよ。」

「熱下がったらね。」

カオルは不満げな顔で諦める。

「ジュン…ハルキさんとさっきキスした?」

「え?」

「昨夜泊まったんだろ?

昨夜はハルキさんと寝たのかよ?」

「…カオル…つまんないこと聞いて…困らせないで…」

カオルはまた子供みたいに嫉妬する。

こうなると手がつけられなくなる。

「もうわかったよ。

本当はあの時、ジュンはオレとじゃなくても良かったんだろ?」

「違う…」

「誰かハルキさんの代わりが欲しかったんだ。

俺じゃなくても全然良かったんだろ?」

「カオル…違うよ。」

「だからハルキさんが振り向いてくれたらオレなんか邪魔になったんだろ?」

そうじゃないけど…アタシの態度は本当に最悪だったからカオルがそう思うのもわかる気がした。

アタシはもう自分が何をしたいのか、
どうなりたいのか答えが全く見つからなかった。

ハルさんを傷つけたくないけど…カオルのことも傷つけられない。

「カオル…昨夜は具合が悪くてそれどころじゃなかったよ。

だから…怒らないで。」

本当はハルさんと別れたくなくて、
昨夜は自分からハルさんを誘ったなんて
知られたくなくて…

アタシはまたしょうもない嘘をつくしかなくなった。

そしてもう一度キスをするカオルをもう拒むことができなくなった。

自分に嫌気がさして
死にたい気分だった。

熱がまた上がってアタシは意識を失った。

このまま目覚めたくなかった。




< 100 / 131 >

この作品をシェア

pagetop