その唇で甘いキスをして…
最後の日もカオルのカラダは戻らなかった。

「ゴメンな。」

ってカオルが言った。

「ううん。早く治ると良いね。」

「ジュンと出来たからもういいけどな。」

カオルはもう治療する気なんてないかもしれない。

「前みたいに友だちとして居てくれる?」

カオルは返事をしなかった。

「どこかに行ったりしないで。」

「うん、分かった。」

アタシたちは抱き合って眠る。

昨夜寝ないで電話してたアタシたちはいつの間にか眠りについていた。

次の日の朝、起きるとカオルの姿は無かった。

クローゼットに入ってたカオルの服も
シューズボックスの中のカオルの靴も
洗面台のコップに入ってたカオルの歯ブラシも
全てが無くなってた。

キッチンのテーブルにアタシの寝顔と一緒に自撮りしたカオルの写真が置いてあった。

アタシは急いでカオルに電話をかける。

「もしもし、カオル?」

「うん。」

「何にも言わずにどこに行くの?

カオルはここに住んでて。」

「そこはお前の思い出が多すぎる。

オレ…頭冷やしてくるよ。

今度会うときはまた昔みたいに友達でな。」

そういうとカオルは電話を切った。

何度かけてもその電話にカオルが出ることは無かった。



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