その唇で甘いキスをして…
ハルさんはアタシの腕を掴んだ。

「どうした?」

「ハルさんはアタシを許してないでしょ?」

「何言ってるんだよ?」

「許せないならいっそ捨ててよ!」

「捨てたらカオルの所に行くか?」

アタシは返す言葉が無くなった。

やっぱりハルさんはずっとそう思ってる。

「ハルさんはアタシの事もう愛してないよ。

執着してるだけ。

だから手放さないんでしょ?

カオルの所に行くのが許せないから。」

「ジュン…どうした?

何が不満なんだ?」

アタシが泣くとハルさんも悲しそうな顔をした。

「カオルとの事を完全に忘れられたワケじゃない。

だからお前が時々許せないし…

冷たくしたりするのかもしれない。

でも…愛してないわけじゃない。

ただ…怖いんだよ。

またお前に捨てられるのが…」

「捨てるのはアタシじゃないよ。

ハルさんだよ。

アタシは絶対ハルさんを捨てたり出来ないのに
ハルさんが冷たいとどうしていいかわからなくなる。

アタシが居ない方が良いのかもって思うの。」

「だから旅行に?」

「ハルさん…
カオルとのことは許してなんて言えないし…
後悔もしてる。

でももう元に戻すことが出来ない。

だからどうしてもアタシを許せないなら
ハルさんがアタシを捨てて。」

ハルさんはアタシを抱きしめて言った。

「捨てられるモノならとっくに捨ててる。」

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