その唇で甘いキスをして…
ハルさんはアタシを後ろから抱きしめてゆっくり動く。

そして耳もとで囁く。

「ジュン…気持ちいいか?」

「…気持ち…いい。」

いつもその言葉を欲しがって
アタシを蕩けさせる。

アタシの瞳から涙がこぼれ落ちる。

「ジュンは気持ちいいといつも泣くよな?」

「…ご…めん……」

ハルさんの乱れてく息遣いとアタシの喘ぐ声とベッドが軋む音が静まり返った部屋に響く。

その夜は長い間、ハルさんはアタシを離さなかった。

その夜のアタシはハルさんに愛されれば愛されるほど罪悪感に襲われた。

アタシのカラダなんかを愛してくれるハルさんが優しすぎて
アタシは自分の犯した罪の重さを知るから。

カオルは今、どんな気持ちでここに居るんだろう?

「ジュン…謝るな。もう…許してるから。」

ハルさんはそんなアタシな気持ちがわかってるみたいにそう言って抱きしめてくれた。

「ハルさん…アタシ…」

「わかってるよ。」

アタシがなにを言いたいかハルさんはわかってるみたいに
その先は言うなって言ってるみたいに
ハルさんの唇がアタシの口を塞いだ。

カオルに会ったら自分の気持ちがハッキリした。

アタシの中のカオルはもう男じゃなくなってた。

あんなに深く愛し合って
離れたくないと思ってたのに…
結局アタシたちは同じ罪を背負っただけだった。

次の日の朝、ハルさんはジョウと海へ行き、
アタシはカオルと少し話した。

「幸せそうだな。」

「うん。」

「ハルキさん、許してくれたか?

優しくしてくれてるみたいだな。」

「…結構ギクシャクしたけど…今はもう…

アタシにはハルさんしか居ないってわかったから。」

「…そっか。」

そしてカオルは自分のことを話し始めた。







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