その唇で甘いキスをして…
「急にどうした?」
カオルがアタシの耳元で囁くように言った。
「カオルは分かってたんでしょう?
アタシの気持ちが元々ハルさんから離れかかってたのを。」
カオルは抱きしめる手を緩めてアタシをもう一度見た。
「そうだよ。
ジュンはあの頃いつもどこか寂しそうだった。
ハルキさんは優しいけど…前よりジュンを見なくなった。
あの日、お前がいつもと違うって気がついた。
明らかにオレを誘ってたし…
キスしたらイケるかもって思った。
案の定、お前はいつもと違った反応をして…
オレはハルキさんとお前の距離が前と変わった事に気付いた。
もしかしたらハルキさんから奪えると思った。
そう思ったら引っ込みがつかなくなって…
どうしてもお前が欲しくなった。
大事にしないなら俺が奪おうって。
でも…ハルキさんが本気になったら敵わないって分かったよ…」
「夕べ…ハルさんに何て言ったの?」
「ハルキさんが昔みたいにオレとジュンの仲を許してくれるなら何処にも行かないって言った。
ハルキさんはお前が望むならそうするって言った。
不安じゃないかって聞いたら
ジュンのことを信じてるからって言った。」
アタシは知らないうちにカオルに助けを求めてたのかもしれない。