その唇で甘いキスをして…

カオルはきっとホントにリンちゃんが好きだったんだ。

それは今までとは違う愛し方だった。

カオルがキスもできない程
リンちゃんは特別だった。

「カオル…アタシが居るじゃない?」

そんなのが慰めにならないことは分かってたけど…

「ジュン…忘れさせてよ。」

カオルがアタシの首にキスをする。

アタシはカオルを抱きしめて
それを受け止める。

カオルが唇にキスしようとして
アタシは顔を背けた。

「ここはダメか?」

カオルがアタシの唇を指で触る。

「ゴメン…」

カオルはアタシを抱きしめる手を緩めて

「お前に触るとおかしくなりそうだから帰る。」

と店を出ていった。

ハルさんには言えなかった。

せっかく上手くいってるのに
またヤキモチを妬かせたくなかった。

アタシにはあんなに容易く触るのに
リンちゃんには何で出来なかったんだろう?

その夜はなかなか眠れなかった。

眠ってたはずのハルさんがそれに気付いて

「何か悩んでるのか?」

と聞いた。

アタシは首を横に振った。

「おいで。」

ハルさんが両手を広げてアタシを抱きしめてくれた。

さしてさっきカオルがしたようにアタシの首筋にキスをして
唇にキスをした。

アタシはそのキスをちゃんと受け止める。

カオルには出来ない事をハルさんとするのは
いけない事をしてる様な気持ちになる。

アタシはハルさんがそれ以上のことをしようとすると
それを拒んだ。

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